地域に学び、地域に返す―小さな高校の大きなチャレンジ
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地域に密着した農業系高校として

農業系高校の甲子園

 全国の高等学校は、公立、私立合わせて約5,400校。学科としては普通科、総合学科、専門学科がある。専門学科のひとつとして、農業系の学科の設置された高校=「農業系高校」が、全国に約400校ある。大都会・東京都にも、島しょ部3校を含めて9校の農業系高校があり、生徒たちは農業全般、畜産、園芸、食品加工などを学んでいる。

 農業系高校の共通点は、実習のための広大な農場や畜舎、食品加工施設などがあること。収穫した米や野菜、ハムや味噌などの加工食品は、文化祭や農場祭、地域のイベントなどで販売され、近隣の人々に喜ばれている。農業系で学ぶ生徒は約9万人と、全生徒数(約360万人)のわずか2.5%だが、各地で地域と連携した特色のある活動が行われている。


 高校生の地域連携活動を支えているのは、「農業クラブ」活動だ。各校では地域にねざしたプロジェクト活動やボランティア活動を展開。毎年秋にはその成果を発表する“農業系高校の甲子園”とのいうべき「日本学校農業クラブ全国大会」が開催される。各校大会、都道府県大会、ブロック大会を勝ち抜いてきた生徒たちが一堂に会し、プロジェクト活動の発表や農業に関する技術の競技会などを行う。


 昨年(2009)の日本学校農業クラブ全国大会は茨城県で開かれ、プロジェクト活動の成果を発表する「プロジェクト発表会 ― 食料・生産部門」では、以下の高校が最優秀賞・優秀賞に輝いた。

・<最優秀賞>熊本県 鹿本農業高校:地元特産のメロンと米粉でつくったパン「コメロンパン」の開発と商品化
・<優秀賞>兵庫県 篠山産業高校東雲校:丹波篠山特産の活性化に向けて ― 地域と共に魅力ある丹波黒栽培をめざす
・<優秀賞>群馬県 勢多農林高校:地元特産の大豆・大白ダイズの保存と普及活動
・<優秀賞>岐阜県 恵那農業高校:洋ランのオリジナル品種の開発とブランド化
・<優秀賞>秋田県 大曲農業高校:豚の早期出荷のための飼育管理と飼料の研究

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2009年の日本学校農業クラブ全国大会で、東雲校は優秀賞を受賞した

特色ある学校づくりのために

 篠山産業高校東雲(しののめ)校(以下、東雲校)は、2008年に創立60周年を迎えた農業系高校である。本校にあたる篠山産業高校には、機械科、電気科、土木科、商業科、生活科の5学科が設置されているのに対し、分校の東雲校は農業科の1学科のみ、全校生徒100人の小さな学校だ。

 平成16(2004)年度より東雲校では、地域に貢献できる人材を育成するため、特色ある学校づくりをめざした5つの類型が設置された。

 生徒は2年生になると、「作物機械」「野菜園芸」「特産バイテク」「生物利用」「生活文化」の5つの類型から一つを選択。類型ごとに設けられた学校設定科目などを通して、大学のゼミのように少人数で、中身の濃い授業を受ける。さらに3年生になると、類型ごとに地域の農家や企業、団体などでの現場実習が必修科目となり、地域に密着した農業系高校としての歩みを進めている。

 5類型のうち、日本学校農業クラブ全国大会の優秀賞を受賞したのは、「特産バイテク類型」だ。昨年度、生徒たちはこのほかにも、以下のようなすばらしい成果を上げている。

・<金賞>全国学芸科学コンクール・高校生の部・自然科学研究部門(旺文社主催)
・<優秀賞>毎日農業記録賞(毎日新聞社主催)
・<優秀賞>ストップ温暖化「一村一品」大作戦 全国大会(環境省主催)
・<東海近畿地区大会・優秀賞>全国高校生対抗ごはん DE 笑顔プロジェクト選手権(全国農業協同組合中央会主催) など

 では特産バイテク類型では、どんなことを学び、どのように地域と連携しているのだろうか。

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特産バイテク類型の1年間の活動を90ページの報告書にまとめた
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元気いっぱいの東雲校シンボルマーク

◆参考サイト:
《日本学校農業クラブ連盟》
http://www.natffj.org/
《兵庫県立篠山産業高等学校東雲校》
http://www.hyogo-c.ed.jp/~shinonome-ahs/

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