集落の人たちの暮らしを第1に考えて設立された共同売店
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株式会社 大宮産業
〒787-1615
高知県四万十市西土佐大宮1576
電話 0880-53-2100

 愛媛県との県境に位置する高知県旧西土佐村(現 四万十市)の大宮地区。四万十川の支流である目黒川に沿って家屋が点在する山間の集落だ。現在の人口は135戸301人、稲作を主にした農業が営まれている。この集落のほぼ中心に建つのが、小さなガソリンスタンドが併設された「(株)大宮産業」。住民の出資によって設立された共同売店※1である。

大宮住民のための、大宮住民による会社

 大宮産業の建物は、以前はJA幡多の大宮出張所だった。日用品をはじめ、ガソリンや軽油、農業資材などを販売する、いわば集落の要となる店舗でもあったが、2005年、農業生産の減少にともない、出張所が廃止されるという話が持ち上がる。

 「出張所が廃止された場合、一番困るのは併設された給油所がなくなることでした」、と語るのは、大宮産業代表取締役の竹葉傳(たけば つたえ)さん(66歳)。

 「最も近い松野町(愛媛県)の給油所へも15q、江川崎(旧西土佐村の中心街)の給油所までは20qはありますから。給油のたびにこの距離を移動するのは大変ですよ」

 日用品の買い物も然り。高齢化率※2が46%という大宮地区には高齢者だけの世帯も多い。若い人ならまだしも、高齢者が車を長距離運転して、日常の買い物をするのはかなりの負担となる。大宮を「買い物過疎地」としないためにも、なんとか出張所を維持できないかと訴えたが、その声は届かず、廃止決定が下された。

 「ならば、自分たちで店を開こう!」と立ちあがったのが、竹葉さんをはじめとする大宮住民だ。何度となく話し合いが行われ、農事組合法人化することも検討されたが、法律上、購買事業ができないために断念。そんな折、会社法が改正されることを知り、株式会社を設立する案が浮上する。さらに協議を重ねた結果、住民の約8割、108人が平均6万円を出資し、資本金700万円の(株)大宮産業が発足した。竹葉さんを代表に5人の取締役と株主はすべて大宮の人たち。大宮住民のための、大宮住民による会社だ。

 「赤字経営になったらどうなるのかなど、会社設立にあたっては不安の声もありましたが、自分たちでやらなくては集落の先はない、という危機感のほうが増していましたね」

 県の補助事業も導入し、店舗と倉庫、給油所をJAから購入、改修に着手した。はれて店舗が新規オープンしたのは2006年5月13日のことである。

写真
手前が大宮産業の店舗、奥が給油所

※3 地域に住む住民たちの出資によって設立・運営される商店。

※2 65歳以上の高齢者人口が総人口に占める割合。
全国平均:22.7% / 高知県:28.4% (内閣府発表「平成22年版高齢化白書」より)

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