農村にとって直売所は最大唯一の希望の星

田舎の本屋さんで購入する
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田中満さん(株式会社農村開発リサーチ代表)

 「まだまだ伸びる 農産物直売所」(農文協)の著者であり、全国各地の農産物直売所を指導している田中満さんに、これまでの地産地消活動と農産物直売所の歴史から、今後の予測に至るまでのお話を聞いた。

もう農産物だけではない

 この2〜3年で変わって来たと感じるのは、九州を中心に農産物直売所に鮮魚が並び始めたことです。ある直売所で話を聞いたら、朝釣ってきた魚が一番人気なんだそうです。福岡県のある直売所では、もともと農産物直売所だった所に建て増しして水産物直売所を作っていて、売上げは農産物と水産物でほぼ半々だそうです。

 もう一つの動きとしては畜産物が並び始めたことです。例えば地元の養豚家がと場でと畜した肉をそのまま直売所に持ってきて売るという、要するに肉の直売です。千葉県柏市にある直売所「かしわで」では3〜4メートル幅の精肉コーナーを作っていて、精肉コーナーだけで年間数千万円の売上げがあるそうです。そんな小さな面積で大きな売上げを出すんですから、これは直売所にとっては有り難い話です。さらに言うと、全国の直売所でブランド米よりも地元米の売上げが伸びているという話を聞いています。

 この2〜3年で農産物直売所は、農畜水産物直売所に変わってきたと言えます。この流れはあっという間に動いて、2015年くらいには、全国の農産物直売所が農畜水産物直売所になると私は見ています。

きっかけはお母さんたちの活動への協力

 私はもともと、村おこしを仕事にしていてあちこちの農村を回っていたんですが、昭和62年頃に岩手県の紫波町にある「産直センターあかさわ」を見たんです。ここは300世帯くらいの集落で、そのうちの100戸程度の農家が集落活性化を目的に、直売活動をやっていました。そこが年間一億円くらい売り上げていて、こりゃいいなと思った訳です。

 それで、私が手伝っていた青森県名川町の加工所のお母さんたちに、自分たちで加工するだけじゃなくて実際に売っている人たちがいるから、見ておいでよって言ったんです。それで、見てきたお母さんたちは、自分たちも直売所を作りたいって言い出したんですよ。そこで、直売所をするための組織を作って、平成3年に「名川チェリーセンター」という名前でオープンしました。ここは100名限定の会員制にして、女性活性化を目的に始めました。入会金は3万円にしたのですが、当初は「この3万円は会長にだまし取られるようなもんだ」なんて噂が流れましたよ。当初の売上げ目標は3000万円にしたんですが、平成4年には売上げが1億円を突破しました。これが、私の直売所成功例の第1号です。


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