味わいで選ばれる米粉パンの時代へ

地元の米でつくる
福盛式シトギ 米粉パンの教科書

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食料・農業・農村
「21世紀の日本を考える 第46号」より

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福盛幸一さん(福盛パン研究所代表)

 「水田のフル活用」の切り札として、米粉パンに熱い眼が注がれている。実際、米粉パンづくりに取り組む人は増えているが、まだまだ「米でもパンができた、というだけの米粉パン」「もどきの米粉パン」が多いという。それを「米粉パンっておいしいね」と言われるようにするには、どうすればいいか。

 「味わいで選ばれる米粉パン」を実現した福盛パン研究所代表の福盛幸一さんにその極意をお尋ねした。(編集部)

米粉パンの味を左右する製粉

――福盛さんが研究・開発されてきた米粉パンの製法をまとめたご著書『米粉パンの教科書』が発行されました。これは、地方の「道の駅」や「直売所」向けの内容ですね。


福盛 そうです。僕が米粉を使ったパンの研究に取り組んだのは、米の消費を向上させたかったから。二束三文で買いたたかれる規格外米の需要を喚起して農家を元気にしたいということが、まずあった。

 そして、出どころの確かな米を粉として使って、特徴ある加工品がさまざまな地域で開発されたらいいなと考えてきた。そのためには、きちんとした米粉パン用の指導書、指針となる内容の本がぜひとも必要でした。だから書名に「教科書」とつけたのです。

 米粉パンで難しいのが米粉特有の吸水の仕方で、この本ではパン生地づくりの過程で生地がどのように変化していくのか、それが一目でわかるように工程写真を細かく掲載しています。これから取り組む人にとって、わかりやすい教材になったと思います。


――米から粉にするときの製粉機械のことや、粉の大きさ(粒度)にも触れています。


福盛 パンにする米は、生のうるち米を使いますが、製粉機によっては、米が欠けたり、大きさがまちまちだったり、粉が角張ったり……といろいろ。

 米粉は小麦より速く水分を吸収するので、均質な大きさ、形でないと、きれいに膨らまないし、口あたりのよいパンにならないのです。熱を与えるなどダメージの大きい製粉法も向きません。また、洗米してから製粉できる機械でないと風味も損なわれます。


――そこで福盛さんは製粉の仕方を徹底的に研究して、製粉機のなかでは気流粉砕と銅搗き製粉が向いている、理想の粒度は一〇〇パスという答えを導きました。それで特許も取得されましたね。


福盛 これまでパンをつくるには、米の粉は細かければ細かいほどいい、と言われたのです。ところがそうじゃない。細かいとフワーっと膨らむけど、すぐにシューっとしぼんじゃう。この点は特許申請のときにも、非常に細かい粉から、粗めの粉までをテストして、私の理論を実証しました。


――粒度に加えて、製法でも特許が認可されました。


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リンゴデニッシュ

福盛 特許そのものがどうということではないけれども、やはりうれしいですよ。何年も研究してきた証として特許が下りたのだと思っています。どこからも補助をもらわず、情熱を傾けてやってきた。信念が勝ち取ったものだと思っています。


――その福盛式の製法では、デニッシュパンやフランスパンなどもできます。米粉では画期的ですね。


福盛 米粉のフランスパンは、これまでもあったことはあったけど、お尻がしぼんじゃっていたのね。そして食べるときにはフニャー。何度も改良を重ねて最適なグルテンが完成できたから、小麦と同じように水分が飛ぶようになった。それでパリっとしたフランスパンも可能になったのです。デニッシュの層の形成も見事でしょう。事実、僕の米粉パンを見て、「自分のところでも」というプロのパン屋さんが、いま続々と登場しています。


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