新島の農地と畑土のはなし
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問い合わせ先
新島村ふれあい農園
〒1001-0400
東京都新島村字御子の花465
電話 04992-5-0539
FAX 04992-5-7096
http://www.niijima.com/farm/

 東京都の島々、伊豆諸島の北部地域にある5つの有人島の中で、一番北の伊豆大島から南へ3つ目に位置するのが、新島(にいじま)である。平成20年に農林水産省の「ふるさと郷土料理100選」にも選ばれた魚の発酵食品「クサヤ」はこの島が発祥といわれている。また島の東側にある長さ約4kmにも及ぶ白い砂浜は、サーフィンのメッカとしても知られている。

 今回の報告では、新島村営の農業振興施設「新島村ふれあい農園」でおこなわれている村内への作物の苗提供の話をとおして、新島の農業や地域づくりの動きを紹介していきたい。

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新島村ふれあい農園の管理棟と育苗温室

新島の農地と畑土のはなし

  新島の畑地を歩いて、気がつくのは土が砂質であることと、一つ一つの畑の面積が非常に小さいことだ。この2つの特徴にはそれぞれ新島ならではの理由がある。

 砂質の土は、新島が火山島であることが大きく関係している。島の表土は西暦886年に向山が噴火した際に噴出された軽石の礫や砂と、海岸から風で運ばれてきた砂によっておおわれている。そのため土に保水力が乏しく、昔から水田をつくることが困難だった。そこで、新島の人たちは、長い間「サツマイモ」と「麦」を栽培し、それらを主食にした食生活を営んできた。

 もう一つの畑面積が非常に小さい理由は、周りを海で囲まれた島という環境にある。その昔、半農半漁の自給的な生活を営んでいた時代には、島内で養える人口も決まっていた。そこで、島では人を増やさぬように戸数を制限していた。おなじ伊豆諸島の御蔵島が江戸時代、常に28戸を維持していた話はよく知られているが、新島では350戸がその基準だった。面積の限られた島内の畑地は、住民同士の公平さを保つために、集落からの距離、地力、風あたり、日照によって全畑を約20区画に分割し、さらにそれぞれの区画を350戸で分割したため、一つの畑の面積が小さくなっている。

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新島で産出されるコーガ石に彫られた畑の標識
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昭和22年10月に米軍により撮影された新島の空中写真。左上が集落で右側が畑地、右上の白い帯のように見えるのが新島飛行場。畑が小さく区切られていることがよくわかる。
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1〜2畝ずつに防風林や風ネットで小さく区切られた畑。地元で「西ん風(ニシンカゼ)」と呼ばれる冬の季節風や、夏から秋にかけて接近する台風からの強風にさらされる新島では、木々などで畑を囲み、風によって表土が飛ばされたり、作物が被害を受けたりすることを防いでいる。

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