地元の食材たっぷりの学校給食で、いきいき町づくり
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問い合わせ先
JA東とくしま よってネ市
〒771-4303
徳島県勝浦郡勝浦町大字生名字太田45-1
電話0885-42-4930
営業時間7:00〜15:00
定休日 月曜

"地産地消"の核はJA直売所

みかんの里の直売所「よってネ市」

 徳島市を南北に横切る国道55号から県道16号に入り、山あい方向に車で1時間ほど走ると、道路のすぐそばまでみかんの木が立ち並ぶようになる。ここ、徳島県勝浦郡勝浦町は徳島みかん発祥の地。昔から阿波貯蔵みかんの産地として知られ、ひところより生産量が減ったとはいえ、現在もみかんの出荷量は県内一である。

 勝浦川のおだやかな流れに沿ってしばらく走ると、道路ぎわに「よってネ市」という看板が見えてきた。広々とした駐車場の向こうに開放感あふれるL字型の建物があり、大勢の人が行き交っている。「寄ってね」と誘われるからには、立ち寄らないわけにはいかない。

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JA東とくしま運営の「よってネ市」は平成7年にオープン。着実に成績を伸ばし、現在では、休日に800〜1000人もの来客がある。

 「よってネ市」は、JA東とくしま勝浦支所が運営する直売所である。 取材で訪れた9月。L字型の建物の片方は、濃い緑色のすだち、すだち、すだちが並んでいる。
東京都内のスーパーで3個120円のすだちが、袋に700g〜1kgもぎっしり入って、なんと100円。贈答用の化粧箱入り(3kgほど)は350円〜400円。すだちは地元では、サンマなどの焼き魚だけでなく、酢の物、すし酢、刺身、鍋物などに欠かせないという。みかんの里にやってきたことを実感する。

 この季節の柑橘類はすだち、極早生みかんの2種類しかなかったが、もうしばらくすると温州みかんの最盛期となる。早生、中生、晩生、貯蔵、ハウスの温州みかん、はっさく、デコポン、甘夏など、「よってネ市」に並ぶみかん類は、1年中途切れることがない。みかんを目当てに、徳島市や阿南市などから訪れる人も多く、休日ともなると、1日800〜1000人もの来店客でごった返す。

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すだち、すだち、すだちが並ぶ。これで1袋100円。

「よってネ市」にはもうひとつの顔がある

年間供給野菜一覧

年間供給野菜一覧
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 勝浦町に活気をもたらしている「よってネ市」は、地元の生産者が育てた野菜やみかん類を産地直売する場というだけでなく、じつはもうひとつの顔がある。勝浦町の小学校2校、中学校1校の学校給食に使われている食材の多くが「よってネ市」を経由しているのだ。

 2002年(平成14)に地場産の野菜を使う学校給食が開始された当初、「よってネ市」で確保できる野菜は、じゃがいも、玉ねぎくらいしかなかった。ところが、現在では、「よってネ市」も野菜・果物だけで120品目を販売するほどに成長し、学校給食用にも、年間合計38品目を提供するようになった。

 38品目のうち、年間を通して使用量の多い、にんじん、玉ねぎ、じゃがいも、キャベツ、ブロッコリーなどの20品目は、給食に必要な90%以上を「よってネ市」で確保している。90%以上といってもピンとこないが、平成17年度(2005)の「よってネ市」からの地場産野菜の年間供給量は、じゃがいも760kg、玉ねぎ750kg、きゅうり400kgと聞くと、学校給食に出荷するために、勝浦町の生産者がいかに真剣に取り組んでいるかがわかる。

 町内の生産者と給食センターを結ぶ「よってネ市」。
 店長の西尾富美子さんは、「地産地消の学校給食がはじまってから、生産者、そして直売所にパワーが出てきました。地元の材料を使った給食を食べながら育つ、勝浦の子どもたちはしあわせもんです」と語る。

地場産給食がつなぐ勝浦町の食育

 「よってネ市」から県道を少し引き返し、生比奈(いくひな)小学校に隣接して建つ、に向かった。清潔で明るい厨房では6人の調理員によって、勝浦町の小・中学校500食の給食がつくられている。

 ○○ちゃんのおじいさんがつくったみかん、△△さんの隣りの畑でとれたピーマンなど、地元の食材を活かした給食を食べて育つ勝浦町の子どもたち。彼らにとっては、給食と給食につながる人たちが大切な思い出になっているようだ。だから、給食センター管理栄養士の早川良子さんは町で中学の卒業生と出会うと、「給食がなつかしい。また、食べたい」と、よく声をかけられるという。学校給食がなつかしいとは、ほとんど義務でしか給食を食べた思い出しかない私にはカルチャーショックに近い。

 「大学進学などで勝浦町を離れて、自活をはじめた子どもが、『あの料理のつくり方をおしえてほしい』と、給食センターを訪ねてくることもあるんです。子どものときから大人になるまで食育をつないでいくとは、こういうことだなあと思います」と早川さん。

 勝浦町は総人口約6300人、65歳以上人口が32%近くの自治体である。JAの直売所を核に、学校給食、さらには廃校を利用した農村体験型宿泊施設「ふれあいの里 さかもと」などにも広がっている地産地消の取り組み。そのネットワークはどのようにしてスタートし、どのように足場をかためたのだろうか。

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生比奈小学校に隣接している勝浦町学校給食センター。町内の小学校2校・中学校1校分の給食がここで作られている。

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地場産給食の立ち上げ時から中心となって取り組みを続けてきた栄養教諭の早川良子さん。



◆参考サイト:
《徳島県勝浦町》
 http://www.town.katsuura.tokushima.jp/

《文部科学省 学校給食実施状況等調査》
 給食センター・自校式の比率など学校給食の現状がわかります。
 http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/001/index24a.htm