地産地消レポート 地元、食べてます記事一覧

写真

兵庫県多可町八千代区「マイスター工房八千代」

素材も手間も「ケチらない」 郷土にあるものを「見捨てない」

ここだけの味・絶品の寿司は、地域を大切に思う人たちの手から

MAP

問い合わせ先
マイスター工房八千代
〒677-0103 
兵庫県多可郡多可町八千代区中村46-1
電話・FAX 
0795-30-5516(加工部門)
0795-30-5115(カルチャー部門)


現代農業2006年2月号増刊
「はじめてなのになつかしい 畑カフェ 田んぼレストラン」より

田舎の本屋さんで購入する
田舎の本屋さんで購入する

人口6,200人の小さな山里の絶品寿司

 朝9時前。開店までまだ1時間以上あるというのに、店内の電話はひっきりなしに鳴り続けている。

 「巻き寿司が10本と鯖寿司が7本ですね。何時ごろお見えになりますか?はい、1時ごろですね……」

 スタッフは予約注文の内容を専用の用紙に書き込むと、作業室のボードに貼り付ける。ボードはみるみる注文用紙で埋まっていく。

写真

マイスター工房八千代。「自分たちの加工施設がほしい」と生活研究グループが町に働きかけ、JA支所跡を再利用してつくった。

 注文内容を確かめながら手際よく寿司を梱包していくスタッフ。奥の加工室では、寿司をつくる人、総菜や弁当をつくる人……とそれぞれが担当に分かれ、休む間もなく立ち働く。

 「お昼過ぎまではいつもこんな感じ。てんやわんやですね」と、スタッフのひとりが苦笑する。

 兵庫県のほぼ中央部、人口6,200人の小さな山里に建つ「マイスター工房八千代」。地元のおばちゃんたちが運営するこの小さな店には、客とスタッフのかもし出す大きなパワーが満ちあふれている。

手づくりの味が人を呼ぶ地元のお店「マイスター工房八千代」

写真

営業日の前日から予約の電話が鳴り続ける。注文票でどんどん埋まっていく作業室のホワイトボード

 午前10時、開店。狭い店内はたちまちお客さんでいっぱいになった。30分も前から店の前で待っていた人たちもいる。お目当ての多くは、同店自慢の巻き寿司と鯖寿司だ。

 多可町は昨年11月に八千代町、加美町、中町が合併してできた町。隣の中区(旧中町)からやって来たという年配の夫婦は、巻き寿司11本購入。「いただきもののお返しに知人へ届けようと思って。ここのは甘くておいしいでしょ。テレビや雑誌などに出て有名だしね」。ほぼ2カ月に一度の割合で買いに来るという。

 遠方の加古川市や姫路市、神戸市や大阪方面からも車を飛ばして買いに来る。近所の人に頼まれたとか贈り物にするとかで、10本、20本とまとめ買いしていく人が多い。

 ただしサバの仕入れ数には限度があるため、1日につくる鯖寿司の数は100〜200本。予約分を差し引くと店頭に並べられるのはごくわずかで、開店からものの1、2分で売り切れてしまうという“レアもの”だ。「だから店頭販売の主力は巻き寿司。このごろは平均でも1日1,000本は売りますね」とスタッフ。

 店内にはこのほか、総菜や漬け物、味噌、ジャム、菓子といった工房の手づくり加工品が並ぶ。ほかに、同地区内で生産されている凍み豆腐や豆腐、野菜、木工品や染織作品なども。

写真

“カルチャー部門”の一角にある「喫茶マイスター」は保育園跡を再利用したとあって明るく広々。地域の人たちの憩いの場にも。

 「マイスター工房八千代」は、この加工施設と店舗からなる“加工部門”のすぐ近くに、女性専用エステやマッサージルーム、喫茶からなる“カルチャー部門”も併設。「喫茶マイスター」には、早朝から地元のお年寄りや加工店舗のオープンを待つ客がモーニングを食べにやって来る。午後からは、店舗で買い物をすませた客がひと息つきに来ることが多い。日替わりの「マイスター定食」には加工施設でつくった総菜付き。購入した寿司や総菜をここで食べることもできるので、「まずはできたてを」とさっそくかぶりつく光景もめずらしくない。

 両部門のオープンは2001年10月。初年度こそ赤字だったものの2年目から黒字に転じ、以後年々売上げは増加してきた。昨年度の年間売上げは1億1,380万円。今年度は月商1,000万円のペースで、昨年を上回る勢いだ。売上げの大半は加工部門によるものである。