地産地消レポート 地元、食べてます記事一覧

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宮崎県高千穂町岩戸「五ケ村村おこしグループ」

地鶏うどんに地鶏そば、1個70円の温泉団子、平均年齢70歳

山里のふだんの食事がむらと神楽と棚田をまもった

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問い合わせ先
天岩戸温泉茶屋
宮崎県西臼杵郡高千穂町大字岩戸五八番地
電話 098-276-1213


現代農業2004年8月号増刊
「おとなのための食育入門」より

田舎の本屋さんで購入する
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はじまりは、みんなが寄れる茶屋づくり

 五ケ村は、水田が少なく、旧岩戸村のなかでも、もっとも貧しいとされた地域だった。それを克服しようと、大正6年から4年をかけて建設された溜池は、地盤の関係で漏水が激しく、使いものにならなかった。あげくのはては、大雨で決壊し、水害を起こす始末だった。

 この溜池の建設のため、五ケ村の人びとは自分たちの山を担保に入れて金を借りた。そして先祖から譲り受けた山の多くは人手に渡ってしまったのだという。

 そんな五ケ村に温泉が出たのは、平成2年のこと。「ふるさと創生資金」による温泉開発で源泉が見つかったのだ。当初の予定では、ここから町の中心部に温泉を引いて「高千穂温泉」としてオープンする予定だったが、地区では「源泉のあるこの集落にも温泉施設を」と温泉開発協議会を結成して町に働きかけ、平成6年に町営「天岩戸温泉」が誕生した(平成10年には「高千穂温泉」も完成)。しかし温泉施設には、入浴後に休憩する場所はあっても、食事のできる場所がない。そこで地区の公民館活動として、「温泉茶屋」を作ろうという動きが起こった。

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五ケ村公民館村おこしグループのメンバー。前列中央が代表の工藤正任さん。その右が公民館長の黒木今朝一さん、いちばん右が、甲斐禮子さん。いちばん左の工藤光平さんは、神楽の館建設の言わば棟梁。その右が甲斐息さん。後列右が佐藤光さん、左が高藤榮男さん

 温泉茶屋の建設には、補助金を受けても、何割かの地元負担が必要になる。全戸(当時72戸)に負担を強いることはできず、意欲のある九軒で「五ケ村公民館村おこしグループ」を結成し、50万円ずつ出し合った。その結果、9軒の出資金の450万円と、補助金および借入金の1470万円で、温泉茶屋の建設が実現した。グループ代表の工藤正任さん(71歳)は言う。

「溜池建設は失敗といえば、失敗。だけど、苦しいときもみんなで力を合わせて、困難を乗り越えてきたから、いまがあるとも言える。ここはいまも、みんなで助け合い、共同で何かをするということが生きている土地じゃから」