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栗田庄一
(くりた・しょういち)

(社)農山漁村文化協会 常務理事
1943年山形県生まれ。
月刊『現代農業』編集長を経て現職。

「地産地消」は「知産知消」

栗田庄一さん (社)農山漁村文化協会 常務理事

 「地産地消」の楽しさを教えてくれるのは、農産物の直売所である。私の住む千葉県柏市にも「かしわで」という名の「今採り農産物直売所」がある。開店して3年目だが、売上も年々伸びて、出荷している農家(約200戸)も元気がいい。

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 駐車場は130台。土日には10時の開店前に満杯になる。床面積132坪、天井が高く明るい売り場に、朝採りの地場野菜や花が並ぶ。お米もその場で「今摺り」。豆腐や牛乳、ソーセージ、パンなども、吟味された提携先からの加工品が並ぶ。柏では採れないリンゴやミカンも、生産者の名前と写真がついた直送品だ。魚以外はほぼ揃う「こだわり系スーパー」だと言ってもいい。

スーパーにない楽しさ

 いや「スーパー」の売り場と明らかに違うことがある。同じダイコンやホウレンソウでも種類が豊富なこと。大小さまざまに、多様な出荷者が思い思いの荷姿・値段で並べている。それを選ぶのが楽しい。

 リピーターとなった我がカミサンは「○△さんの里芋はおいしい」とか、指名買いである。キュウリも、粉を吹いたような昔の品種をみつけて、ぬか漬け用に。これは皮が薄くて味がいい。ニンジンなどは小さいの、形の悪いのがたくさん入った徳用袋がお気に入り。

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「今採り農産物直売所・かしわで」は、その名のとおり、採れたての地元野菜がならぶ。

 珍しく、「もってのほか」という名の食用菊が袋入りで売り出されていた。山形の秋の味覚を、柏でつくっている農家がある…。夫婦揃って山形出身だから、さっそく三袋ほど買占め。この珍品はどんどん売れる存在ではなさそうだった。酢を入れてサッとゆでると、薄紫の色が際立ち、しゃきしゃきした食感と菊の香りがたまらない。そんな「メッセージ」をつけたら、柏にもファンは増えるのにと思った。

「メッセージ」の大切さ

 「地産地消」は「知産知消」でもある。

 晩秋のある日、「かしわで」の店頭で、人だかりがしていた。半切りのドラム缶に炭火をおこして金網を載せ、そこへ泥付きのネギを並べて焼く。香ばしく焼けたら一皮剥いて、白いところを庖丁で五センチほどに切る。

 あつあつの「焼きネギ」を、塩を添えた皿に盛って、農家のおばさんたちが試食をすすめていた。甘く柔らかく、舌にとろける。こんな食べ方もあったのかと、周りの人たちも笑顔で、泥付きネギの束を買っていた。

 農家なら知っているが、タケノコも皮ごと焼くと美味しい。トウモロコシも同様に皮付きのまま焼くと、うまさが凝縮する。

 「知消」つまり、持ち味を生かす食べ方を知ること、生産者がそれを伝えることが、大事な時代だ。つくることと食べることをつなぐ「メッセージ」の交換が、「地産地消」の楽しさを倍増させてくれる。